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Canvaを使った実践について、早来学園の先生にインタビューしてきました!

安平町教育委員会事務局の山田です!今回は、デジタルツールのCanvaを使った実践を紹介します。

安平町では2024年からCanvaを自治体導入し、学校現場で先生や子どもたちがCanvaの教育版にアクセスできるような環境を用意しています。導入から1年経って、学校現場ではどのように使われているのか、導入した結果どんな変化があったのか、安平町立早来学園の先生達にインタビューをしてきました!


Q:オンラインツールのCanvaを、授業ではどのように活用していますか?

「Canvaはポスター作成機能が有名ですが、私が特に良いと思うのは、共有したホワイトボードとして使えることですね。みんなで一つのファイルを共有しながら意見交換ができるし、それを保存して後から振り返ることもできる。それを作品として発展させたり、コメントを残したりできるのが便利ですね。
前の学校(他自治体)では、ホワイトボード的な使い方ができるアプリを模索していましたが、どのアプリが適しているのかわかりませんでした。安平町で導入されているCanvaにもホワイトボード機能があると知って、使い始めました。」

「私はパソコンが得意ではないのですが、Canvaは使いやすかったですね。これまでも色々なサービスを試してはいましたが、機能ごとにいろんなアプリを立ち上げることが大変でした。Canvaだと1つのアプリ内で全部できるので、すごく便利です。最初はこういったデジタルが得意な先生に聞きながらでしたが、使い始めると子どもたちがどんどんいろんなことができるようになって、“こんなこともできるよ”と教えてくれることもあって、自然と使い方が広がっていきました。」

Q:デジタルツールの導入の際、「子どもが先生よりも先にツールを習得してしまうことが問題」と考えられ、導入が進まないという事例も聞きますが、そういう問題はありましたか?

「もちろん問題もありました。例えば、子どもが知らないうちに“ページを消す”ボタンを押してしまったり、リアクション機能(花火が打ち上がるなど)を使いすぎてしまったり。あとは、誰かがタイマーを設定してしまい、一斉にタブレットから音楽が流れる…なんてこともありました。」

「そうですね、もちろん大変なこともあります。でも、“今このツールを何のために使っているのか”を子どもたちに意識させることで、不要な機能を使わなくなることが多いですね。国語の時間に使っているのであれば、『絵文字でリアクションしているものを、国語の時間だから言葉にして表してみようか』と声をかけると、子どもは『確かにそうだなー』とその場の目的に応じた使い方を考えるようになります。」

「あとは、逆に課題によっては自由に使っていいよという時間を設定することで、いろんなことを試せる機会を用意しました。例えばお楽しみ会の準備などは、いろんな使い方をしても他の子の学習の邪魔になるようなことは起こりにくいので、いろんな試行錯誤ができる場です。なんでも制限するのではなく、学習にもメリハリが必要だと思います。」

Q:Canvaを使うことで、子どもたちのどんな力が育っていると感じますか?

「デジタルツールに慣れるのはもちろん、表現の幅が広がりましたね。例えば、絵を描くのが苦手な子でも、Canvaを使えば色や形を簡単に変えられるので、“こういうふうにしたい”という思いを形にしやすくなっています。直観的にどこをタップするとどうなるかがイメージしやすいので、頭の中にあるものを表現するために、いろんな試行錯誤がしやすくなっているのが便利な点ですね。」

「表現の選択肢が増えたことで、意欲的に取り組む子が増えました。紙で取り組むのが苦手だった子が、デジタルならやりたいと思えることも多いです。もちろんこれまで通り紙を使う子もいるので、いろんな表現方法が可能な場づくりが大切だと思います。デジタルツールを『使う』ことが目的ではないので。」

「2年生の書写の書初めの単元で、Canvaを使って自分の書きたい書初めのお手本を作るという活動をしました。Canvaのフォントでフェルトペンの書写に適したものを選び、自分で注意すると良いと思うポイントを書き込んでいきます。教科書だと、『明るい心』など書く字が決まっていますが、書初めということで自分の書きたい言葉を選んでほしかったんですよね。その結果『ネコを愛する』など大人では思いつかないような個性豊かな書初めが沢山生まれました。これを、先生が一人一人手書きで別々のお手本を用意するということは準備時間的にかなり難しいですから、それが可能になるのはCanvaの強みだなぁと思います。」

実際に授業で使ったCanvaの画面を見せていただきました!

Q:Canvaは、どのようにして学校に広まっていったんでしょう?

「まずはICTが得意な先生が試して、“これいいね”という感じで自然と広がっていった感じですね。あとは安平町ではiPadが導入されているのも良い点だと思います。起動も動作もスムーズなので、授業で用意してサッと使いやすいです。」

「変化に対してポジティブな先生が多くて、“とりあえずやってみよう”という雰囲気があります。早来学園の先生は、新しいものに積極的な印象です。ここに来たからにはやるしかないぞという覚悟もあると思います。」

「先生達の風通しがいいのはありますね。研修もしっかり時間をとって行うものと、15分くらいのミニ研修というものを用意しているんです。そのミニ研修の中で、『こんな使い方があるよ』と自然に交流されていて、使いやすいツールだからみんなが取り上げて使っているという感じですね。」

「子どもたちの表現の幅が広がるのはもちろんなのですが、私たち教師の授業づくりの幅も広がるような気がします。若いころは色々と挑戦してきても、だんだん成功体験を積んでくると新しい事を考えなくなってしまう面があると思うんですね。でも、こういう新しいCanvaのようなツールに触れて、こんなこともできるんだということを知ることで、『じゃあこんな授業もできるかも』という刺激があるんですよね。その結果、また新しいことに挑戦してみようかなって気持ちになります。」

「Canvaを使いたいと安平町の教育委員会に伝えたのは私なのですが、すぐにエデュケーション版を使えるように動いてくれたのは本当に感謝しています。エデュケーション版になってすごく使いやすくなりました。」

職員ホームで新入生の入学説明会の資料を作成している様子

Q:授業以外の学校の業務で、Canvaが活躍している場面はありますか?

「私がCanvaの良さに気づいたのは、昨年度のSchool Festival(早来学園の公開研究会)のときでした。そのとき、私はサイネージ(電子掲示板)の担当でした。教頭先生から『本物のサイネージの使い方はいつするの?』と発破をかけられまして(笑)それで、どうしよう…ってなったときに、Canvaが大活躍しました。
サイネージは、写真1枚を登録するのに名前をつけて、秒数を設定して、1枚ずつアップロードしないといけなくて大変でした。それを何十枚、何百枚もやるとなると、膨大な時間がかかります。でも、Canvaを使えば、写真を並べて動画化するだけで1本のスライドショーとしてまとめられる。サイズの制限はあるけど、圧倒的に作業が楽になりました。
今では、子どもたちの作品発表や委員会活動の報告などもCanvaで作成し、サイネージに掲載しています。最初は私が全部作っていましたが、最近は先生たちが自分で作ってくれるようになったので、私はもらったデータをアップロードするだけになり、劇的に時短になりました。」

「職員研修でもCanvaを使っています。例えば、先生たちが作成する提案文書やスライドを作るときに便利ですね。従来は他のツールを使っていたんですが、デザインが堅苦しくて…。でも、Canvaならおしゃれで遊び心があるテンプレートが豊富にあるので、ちょっと楽しい雰囲気がある資料が簡単に作れました。その結果、研修の雰囲気がずいぶん柔らかくなりましたね。あとは、Canvaのホワイトボード機能でグループワークの提示資料を作ることもありますね。」

「Canvaだと、共有もスムーズなんですよ。同期もほとんどタイムラグが無いし。オンライン上で作業ができるのも便利です。クラウド上にデータがあるので、デバイスが変わっても作業が止まらないのも良いです。」

校舎に入ったところにあるサイネージの様子。
Canvaの導入で子どもたちの作品を掲載しやすくなったそうです。

おわりに

インタビューを通して先生達の沢山の工夫が垣間見えて楽しかったです。特に、「子どもたちだけでなく、先生たちの授業づくりでも創造性が刺激されて新しいことに挑戦したくなる」という言葉が印象的でした。今、世の中には日々新しいツールが生まれていますが、そういったものを柔軟に取り入れ、変化を恐れずに楽しくポジティブに向かって行く先生達は、とってもイキイキして見えました!(山田)


Canvaについて

Canvaのオンラインホワイトボードの機能はこちら

https://www.canva.com/ja_jp/online-whiteboard/

Canvaのポスター作成の機能はこちら

https://www.canva.com/ja_jp/posters/